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【Feel Lyric】日本語ラップの歌詞から感じる|「バイトしない」は新しい時代の価値観?



最近、メディアなどでも取り上げられるようになった日本のヒップホップ。聞いた人に強い印象を残すラップという表現法に注目して、公的なプロモーションイベントやテレビCMでもラップを使用されることも多くなりました。

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更新は不定期になりますが「Feel Lyric」と題して、日本語ラップの歌詞から自分なりに考えたことを書いていきたい思います。ここで書くことは私の個人的に感じたことであるため、作詞者の本来の想いとは違うことがあります。そのことを理解して頂いたうえで少し楽しんでみてください。

バイトしない


今回、Featureする曲は『DJ TY-KOH /バイトしない feat. KOWICHI & YOUNG HASTLE』です。まずは曲を聴いてみてください。




フック(ヒップホップでいうサビにあたる部分)が印象的ですね。

”飯を食う、洋服を買う、デートする。お金かかるよ。でもバイトしない。”

ここだけ聴くと、いわゆるNEETの考えのようにも聞こえます。

みんなといる時間、金にかえる


ただ働く気がない、甘えた考えの歌詞に聞こえるフックです。では1バース目のYOUNG HASTLEさんの歌詞を見てみましょう。

”金はない。家狭い。〜でもバイトしない。ヒップホップ以外はやりたくない。”

これはアーティストに限らず共感する部分がある人は多いのではないでしょうか?自分がなりたい姿はあるけれど、生活が厳しかったり、やりたいことへの金銭的な投資が難しい。この曲を歌っているYOUNG HASTLEさんと、KOWICHIさんは個人名義や客演などで多数の曲をリリースしており、ヒップホップシーンの中では、かなり知名度もあるのです。それでも「自分が望む姿にはなっていない」という現実を歌っているようです。

”毎日かかる金。今日も飲む酒。生き方変えられねぇ。なら稼ぐしかねぇ。”

なりたい姿に近づくには、もっとお金が必要だけど、やっぱり好きなことだけをやりたい。生活のためにバイトして、好きなことの時間は削りたくない。その考えはゆるぎない。じゃあ「好きなことで稼ぐしかない」と綴っています。

”今日も曲つくる。できたらiTunesとかで売る。みんなといる時間、金にかえる。”

じゃあバイトしないで稼ぐには?ラッパーなんだから曲をつくるしかない。仲間とやった活動をどんどん世の中へ出して、それをお金にしないといけない。この曲の「バイトしない」は「働かない」ではなく「アーティストとしてもっと動く」ということを歌っています。

みんなで笑うために今日も動く


それでもバイトなどでの一定の収入がなく、売れるか売れないか分からない状況はとても不安定です。2バース目のKOWICHIさんの歌詞も見てみましょう。

”不安で夜も眠れない。〜諦めていなくなった友達。それもあり。分かる気持ち。”

そんな状況ですから、一緒に頑張っていた仲間が目標も諦めることもあります。それに対し「逃げた」とは思っていないようです。自分自身も苦労しているからこそ、その気持ちは非常に理解できるのでしょう。

”俺だけじゃなく、家族、仲間、みんなで笑うために今日も動く。”

自分の目標のためだけでなく、それを支えてくれる家族。そして今、一緒に頑張っている仲間、諦めてしまった仲間。そういった人のためにも毎日活動する、と歌っています。

この曲の歌詞は音楽にかけるアーティストの決意が表れていることが理解できます。

「バイトしない」は新しい時代の価値観?


夢を追いかける人は下積み時代があって、やりたくない仕事をやりつつ、隙間の時間に必死にやりたいことをやる。それを続けた人が、憧れた姿に近づいていく。

一般的にはそう思われがちです。しかし彼らは「バイト」というやりたくない時間をなくし、「生活」そのものを仕事にしようとしていると感じられます。

生活や遊びを仕事にする。というのは「ありえない」と感じる人が多いかもしれません。しかしこの考えは、これからのスタンダードな価値観になるかもしれません。

余った時間をどうするか


近年、AIやロボットなどの技術が急速に発達しています。現在ある仕事の多くは、それらに奪われてしまう、という話を聞いたことがあるかもしれません。

それがどこまで現実になるかはわかりませんが、無くなっていく仕事が増えていくことは間違いないでしょう。そうすると全体的に労働時間が減り、余剰な時間(雑な言い方をするとヒマな時間)が増えます。

そうすると新たな仕事は、今は「趣味」と言われるようなものになる可能性があります。このような流れは、ある時からパッと変わるものではありません。いつの間にか流れ込んでくるものです。

現在のその代表は「Youtuber」かもしれません。仕事をしながら、動画投稿をしている人もいるでしょうが毎日残業続きだったら、動画を撮る時間もありませんね。

「仕事」は伝えやすくするための言葉


ここまで読んでもらった方は勘違いしていないと思いますが、再度書きます。

「バイトしない」は「仕事しない」ではないのです。自分の好きなことを思いっきりやる、ということです。

好きなことを思いきりやると専門性が出てくる。そうするとお金になっていく。本人は仕事している感覚ではないのかもしれません。ただ周りと話すときに分かりやすいので「仕事をする」という言葉を使う。そんなことが当たり前になる時が来ているようです。



もう少し暇つぶし…


アメリカの伝説のヒップホップグループであるPublic Enemy(パブリック・エネミー)のChuck D(チャック・ディー)は「ヒップホップはブラックCNNだ。」と言っています。「ヒップホップの歌詞から、少し飛躍しすぎるかもしれないが社会を考えることは面白いのではないか。」と考えたので、この企画を始めてみました。これからも更新していく予定ですが、何となくそれっぽいことを書いているだけです。暇つぶしだと思って楽しんでください。


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